入会案内

 新陰流兵法研心会への入会や見学を希望の方、その他ご質問等のある方は、お名前、メールアドレス、メッセージ(見学希望日や質問など)をお問い合わせページの入力フォームに記入して送信してください。担当者(矢口)より折り返しメールにて連絡いたします。

 

会費・月謝

入会金:三千円

月 謝:三千円(学生二千円)

年会費:三千円

  

●東京本部

稽古日時:毎週水曜18時30分〜21時30分、隔週金曜18時30分~21時30分

稽古場所:文京スポーツセンター、他

 

大阪支部

稽古日時:毎週土曜15時〜17時
稽古場所:吹田市立武道館 洗心館 第一武道室

 

稽古開始時に用意していただく物

稽古着:道着(白または黒の居合道衣など)、帯(居合帯など)、袴(黒または紺)

袋竹刀:当会で購入可能

研心会の特徴


・ 新陰流兵法二十二世渡辺忠成師範直伝の教えを教授します。

 

・ 新陰流の剣術に加えて、新陰流に併伝して伝わっている古流居合・抜刀術の制剛流抜刀術、柳生十兵衛創始の杖術である新陰流杖術も全伝教授します。

 

・ 新陰流には江戸時代より脈々と受け継がれて整備された教習課程(カリキュラム)があり、当会では各人の段階に合わせてマンツーマンで指導します。そのため、初心者でも順を追って稽古していくことにより、初歩から極意に至る深遠な術理まで、段々と難しい太刀の操法や身体使いを無理なく学べるシステムになっています。

 

・ 当会は皆伝者7名を含む10名の指導者がおり、懇切丁寧にマンツーマンで指導します。全ての太刀の全ての動きには一つ一つ意味があり、太刀筋から身体の細かい動きに至るまで、それぞれの太刀や身体操作の理合について詳細に説明します。

 

・当会の指導者は剣術以外にも合気道などの武術を長年稽古している者が多く、豊富な武道経験をもとに技の理合や身体操作についてきめ細かく指導します。

 

・東京本部では文京区茗荷谷駅近辺の施設(文京スポーツセンターなど)で毎週水曜夜に稽古を行っています。平日の水曜夜に都合がつき、都心に出やすい方にお勧めです。

 

・大阪支部では毎週土曜日の15時から吹田市立武道館(洗心館)で稽古を行っています。

研心会の稽古で身につく事


新陰流兵法二十二世渡辺忠成師範が伝える、新陰流兵法、制剛流抜刀術、新陰流杖術の全伝を学ぶことができます。

 

・剣術の稽古は適度な全身運動であり、また、新陰流の剣禅一如の精神を学び型の中で鍛える事で、心身共に鍛える事ができます。また、歪みの無い身体操作を稽古するため、身体のバランスが整い、姿勢や動きが綺麗になることが期待されます。

 

・現代剣道とは異なる、昔の武士が行っていた刀剣での戦い方や使い方、身体操作を学ぶことができます。古武術の身体操作を身に付けることで身体の動き方が良くなります。また、新陰流の太刀捌きは、剣の理合を用いる合気道など他の武術にも応用が可能です。

 

・当会は型稽古のみで試合は行いませんが、外伝試合勢法では剣を用いたあらゆる戦闘を想定した試合型が200本程度用意されており、それを学ぶ事でパターン学習により剣の戦いにおける様々な対処法を学べます。

 

・制剛流抜刀術では、日本刀(居合刀)を用いた稽古により、実戦的な真剣の刀法を学ぶ事ができます。また、抜刀から剣術、体術に繋げる古流居合・抜刀術が学べます。

 

・新陰流杖術では、剣の裏技としての杖の使い方を学び、奪刀法に繋がる杖術を学ぶ事ができます。

 

・木刀を用いる型や、小太刀や二刀、無刀の型も稽古します。

こんな方は是非一緒に稽古しましょう!


・新陰流に興味がある。

→新陰流を稽古している団体は多くあり、各団体によって稽古内容から会の雰囲気まで様々な違いがあると思います。当会のホームページをご覧になったり、稽古を見学いただいて、自分に合ってそうだと思われたなら、是非、一緒に稽古いたしましょう。

 

・ 剣術に興味がある。

→剣術の中でも三大源流(念流、神道流、陰流)に近く、徳川将軍家御流儀として江戸時代に最も派生流派の多かった新陰流を、是非学んでください。

 

・古武術やその身体操作に興味がある。

→新陰流では戦国時代から伝わる剣術の精妙な身体操作を学ぶ事ができます。新陰流では、「西江水(せいごうすい)」、「人中路(じんちゅうろ)」、「転(まろばし)」など、身体操作や身体感覚に関する教えや用語も数多く残されており、それらを通じて昔の武芸者が到達した高度な身体使いを体得することができます。

 

日本刀や日本刀を使った武術(居合・抜刀術)に興味がある。

→古流居合・抜刀術の制剛流抜刀術により真剣の操法を学ぶ事が出来ます。また、昔の武士の真剣勝負における刀での闘い方についても学ぶ事ができます。

 

・ 戦国武将や剣豪に興味がある。

→およそ500年前より伝わる新陰流を学ぶ事で、昔の武士の戦い方や身体操作、また、昔の新陰流剣士に想いをはせることができます。流祖上泉伊勢守や柳生石舟斎は戦国武将であり、柳生但馬守は大名で将軍家指南役、柳生十兵衛も隻眼の剣豪として有名で、その他にも新陰流の達人は日本の歴史の様々なところで活躍しています。

 

・ 合気道などの他武術を学んでいるが、剣術も専門的に学びたい。

→合気道開祖植芝盛平翁も学んだと言われる新陰流で剣の理合を体得できます。また、新陰流では石舟斎が考案したとして有名な奪刀法(無刀取り)に代表されるように、体術への応用技が多彩にあり、剣を持たないで新陰流の太刀捌きを行うとそのまま体術になります。そのため、剣術諸流派の中でも、体術との親和性の高い新陰流を是非学んでみてください。

よくある質問


⚫︎見学や入会、稽古について 

Q:見学はいつできますか?

A:毎週水曜日(東京支部)、毎週土曜日(大阪支部)の稽古は基本的に見学が可能です。事前にお問い合わせ先までご連絡ください。

なお、見学時に必要なものは特にございません。服装は普段着でかまいません。

また、見学時の写真や動画の撮影はお控えください。

 

Q:見学時に体験することはできますか?

A:現在、稽古においては会員の指導を優先しているため、基本的に見学者の体験は行っておりません。

 

Q:入会はいつできますか?

A:随時会員を募集しておりますので、いつでも入会可能です。一度、稽古を見学いただいて入会を検討ください。

入会を希望される場合、道具が揃い次第、いつからでも稽古に参加することができます(道具が揃わない場合は相談ください)。

 

Q: 仕事やプライベート等の都合で、稽古に毎回参加できなかったり、稽古時間に遅れたり早退したりすることがありますが、大丈夫ですか?

A:各人の都合に合わせた稽古への参加が可能ですので、ご相談ください。

東京本部の稽古は、平日の夜ということで仕事帰りの方が多く、18時30分〜19時頃に集まる方が多いです。

 

Q:年齢や性別などの制限はありますか?

A:年齢については、原則として中学生以上とさせていただいております。当会は10代〜80代まで幅広い年代の方が稽古しており、高齢の方でも問題ございません。

また、性別の制限はございません。

型稽古のみで試合がありませんので、その方のペースに合わせて稽古できます。

 

Q:武道の経験がなく運動も苦手ですが、稽古についていけますか?

A:武道歴やスポーツ歴は問いません。その方に合わせて一から教授しますので、真摯に稽古を続けられる方であれば、どなたでも最後まで進める事ができます。

他の武道やスポーツの経験を新陰流に活かせる場合もありますが、かえって動きに癖がありなかなか新陰流の動きに馴染めない場合もあります。逆に、武道やスポーツの経験の無い人の方が動きに癖が無いためにスムーズに新陰流の動きに馴染める事もあります。なので、特に何かの運動をしていると有利ということはありません。

 

Q:普段の稽古はどのような流れで行われますか?

A:東京本部においては、18時30分から施設が使用可能であり、更衣室などで着替えて集まった人から制剛流抜刀術や新陰流杖術などを稽古します。19時30分頃に皆で整列をして礼をし、新陰流の剣術の稽古を開始します。稽古は、基本的に目録位以上の上級者が初中級者と組み、マンツーマンで型を指導します。伝位によって学ぶ型が決まっており、習った型の復習をしたり新しい型に進めたりと、個々人の進み具合に合わせて指導します。必ず上級者が打太刀(型で負ける方)、下級者が使太刀(型で勝つ方)を行います。21時15分頃に皆で礼をして稽古を終えます。着替えて、21時30分には会場から退出します。

 

Q:入会時にかかる費用と必要な道具を教えてください。

A:入会時にかかる費用としては、入会金と入会月の月謝をいただいております。

道具としては、道着(白または黒の居合道衣など)、帯(居合帯など)、袴(黒または紺)、袋竹刀が必要となります。

他武道で使用している道着や帯、袴があれば流用してもかまいません。

袋竹刀は当会で購入が可能です。袋竹刀を入れる刀袋があると便利です。

初めて武道を始められる方には、当会の者が稽古着等の購入や着装についてアドバイスいたします。

 

Q:入会後にかかる費用や、その他に必要となる道具等があれば教えてください。

A:入会後にかかる費用としては、毎月の月謝と、翌年から年会費をいただいております。また、伝位を伝授された場合には当会規定の伝授料がかかります。

道具としては、制剛流抜刀術を始める場合には居合刀が、新陰流杖術を始める場合には杖が必要となります。

また、小転位(入会から一年後くらい)で学ぶ、燕飛六箇之太刀(内伝)では木刀が、小転変十三勢(小太刀の型)では小刀(袋竹刀)が必要となります。演武の際には白足袋が必要となります。

 

Q: 定例稽古以外の行事があれば教えてください。

A:年頭演武、奉納演武、合宿、懇親会(新年会、忘年会など)などを予定しています。

当会の活動についてはブログもご覧ください。

 

Q:試合や大会はありますか?

A:当会では試合は行っていません。稽古ではいわゆる型稽古のみを行います。ただし、外伝試合勢法と呼ばれる試合を模した試合型を稽古することで、様々な状況における剣の戦い方を学びます。

また、大会は行っておりませんが、型を披露する場としては、年頭演武、奉納演武などがあります。

 

 

⚫︎伝位、称号について

Q:伝位とはどのようなものですか?段級位とは違うのですか?

A:伝位も段級位も、技能の度合いを表す等級制度です。

新陰流では、現代武道で用いられる段級位制ではなく、流祖上泉伊勢守の頃より受け継がれている伝位制を用いています。 新陰流の伝位と現代武道の段級位では、各位の意味合いが異なりますので、単純にこの伝位は何段相当ですといったことは言えません。

新陰流の伝位は、流祖の頃は目録位と皆伝位のみでしたが、五世柳生連也厳包が大転位、小転位、天狗抄位、天狗抄奥位、内伝位を定め、その後も教習課程に応じた伝位が定められて、今の十段階の伝位になりました。

目録位は古武術において一人前と認められる位であり、最初の大きな目標になるでしょう。皆伝位は流派の全ての太刀を伝授された者に与えられる位で、いわゆる「免許皆伝」のことです。大転位、小転位、天狗抄位、天狗抄奥位は、新陰流の太刀名に由来しており、新陰流特有の名称になります。

 

Q:伝位伝授の条件はどのようなものですか?審査がありますか?

A:伝位伝授にあたって、書面や実技などの審査はありません。その段階で教習する太刀・勢法を学び終え、指導者が普段の稽古の様子を見て、次の段階に進んでも良いと判断した場合に、伝位が伝授されます。

なお、伝位伝授時には、伝授者よりそれぞれの伝位に応じた自筆の書状や伝書(巻物)が授与されます。

 

Q:伝位が上がるのにどのくらいの期間がかかりますか?

A:次の伝位が伝授されるまでの期間については、その人の稽古の参加頻度や上達速度によって大きく変わります。初級の伝位では数ヶ月〜半年くらいで次に進める場合もありますが、伝位が上がるにしたがって次の伝位に進むのに年単位でかかる場合もあります。そのため、入会して何年稽古すれば目録や皆伝になれるといったことは一概には言えません。

 

Q:称号とはなんですか?

A:伝位とは別に指導者に与えられるもので、当会では上から「師範」、「師範代理」、「教授」、「教授代理」、「指導員」を定めています。

 

 

⚫︎新陰流兵法について

Q:剣術は剣道とどう違うのですか?

A:剣道は、古来からの剣術を近代に競技化した武道であり、防具を着用して竹刀を用いて一対一で打突し合う運動競技種目です。

剣術は、古来より武士が日本刀で戦うための戦闘技術を体系化した武術であり、主に型を稽古します。時代劇の殺陣、いわゆるチャンバラをイメージしていただくと分かりやすいかもしれませんが、実戦を追求しているので殺陣よりも地味に見えるかもしれません。

剣術では、お互いに相手のどこをどのように狙っても良いので、攻撃方法や想定される戦闘パターンが多彩です。特に新陰流の剣術は、剣道や他流派と比較して転身技や廻刀技が多いのが特徴と言えます。

 

Q:兵法、剣法、剣術はどう違うのですか?

A:どれも刀剣で戦う武術のことをさしますが、時代によって、古くは剣法、兵法と呼ばれ、江戸時代中頃からは剣術と呼ばれていたようです。

兵法というと元々軍学や兵学の事を指しますが、鎌倉時代頃には武士の武芸の事も指すようになり、戦国時代頃から江戸初期にかけては剣術の事もさすようになりました。刀剣での戦い方が重要視されていたのではないかと思います。また、主に剣を持って諸国を旅する武芸者の事を兵法者とも呼びました。

剣法というと、剣を扱う技術というよりも剣を扱う法則といった意味合いが強いのかもしれません。

 

Q:「新陰流」と「柳生新陰流」は違う流派なのですか?

A:基本的に同じ剣術流派を指します。「柳生新陰流」という名称は、柳生家に伝えられた「新陰流」を外部の人が指した俗称であり、正式な流儀名を「新陰流」といいます。尾張柳生家においても代々伝書等の流儀名は「新陰流」を使用していました。

現在、「新陰流」または「柳生新陰流」の名称で稽古している団体の多くは尾張柳生家に伝わった新陰流の系統であり、元を辿れば同門といえるでしょう。

 

Q:新陰流は他の剣術流派と比べてどのような特徴がありますか?

A:多くの剣術流派では木刀を用いて寸止めで稽古することが多いのに対して、新陰流では袋竹刀を用いて相手に当てて稽古をします。袋竹刀は当っても怪我をしないので、木刀に比べて安全に稽古することができます。当会では実際に相手に当ててどのように力が伝わっているかも重視して稽古しています。

技としては、新陰流は廻刀技や転身技が多彩であり、また、左太刀やクネリ打ち、猿廻、神妙剣など、他の古流剣術流派でもなかなか見られない太刀筋の技が豊富に残っています。

また、柳生石舟斎考案の奪刀法(無刀取り)に代表されるように、体術への応用技が多彩にあり、剣を持たないで新陰流の太刀捌きを行うとそのまま体術になります。剣でただ敵を叩いたり切ったりするのではなく、敵に剣が触れると同時に柔術的な崩しが入るも当流の特徴と言えるでしょう。

新陰流は戦国時代からの流儀のため、甲冑剣法と素肌剣法の両方が技として伝えられています。新陰流の本伝は甲冑を着ている者同士が行う剣法であり、実際に甲冑を着て演武することもあります。江戸時代につくられた剣術では素肌での戦闘を想定しているため、甲冑剣法とは戦い方が異なります。

新陰流は、甲冑剣法、素肌剣法、初心者向けの型、試合型、小太刀の型、二刀の型、無刀の型など、300本程度の型(新陰流では型と言わず「太刀・勢法」という)があり、他流と比べてもかなり多いです。ただ、構えや太刀筋、勝ち口が何百とある訳ではなく、それらはそれぞれ20〜30程度であり、その組み合わせで型が作られているため、全部の型をバラバラに覚える訳ではありません。特に外伝試合勢法の型は200本程度と多く、そこでは様々な斬り合いのパターンを学ぶ事で、あらゆる剣対剣の戦いに対応できるように学んでいきます。

教習課程(カリキュラム)がきちんと整備されていて、初心者でも順を追って稽古していくことにより、初歩から極意に至る深遠な術理まで、段々と難しい剣の操法や身体遣いを無理なく学べるシステムになっています。

新陰流は徳川将軍家御流儀であり、多くの上級武士が学んだことから、流祖以来の達人によって書き記された様々な伝書が豊富に残されています。代表的な口伝書として、新陰流兵法截相口伝書(柳生石舟斎宗厳著)、没茲味手段口伝書(柳生石舟斎宗厳著)、始終不捨書(柳生兵庫助利厳著)、兵法家伝書(柳生但馬守宗矩著)、月之抄(柳生十兵衛三厳著)などがあります。そのため、戦国時代、江戸時代の剣術流儀の研究をする上でも重要な流派といえるでしょう。

 

Q:袋竹刀とはどのようなものですか?

A:袋竹刀(ふくろしない)は長さ三尺三寸、直径一寸程度の竹の先を割って革の袋(二尺五寸)を被せた道具で、新陰流では刀の代わりに用いて稽古します。袋竹刀は流祖上泉伊勢守が考案したもので、現代剣道で用いられている竹刀の原型と言われています。

袋竹刀は身体に当たっても怪我をせず危険が少ない事から、刀や木刀に代わる稽古道具として重宝されており、当流では実際に相手に当てて力がどう伝わっているかを重視して稽古をしています。

袋竹刀は革袋部分を太刀の刃とみなして用い、それぞれ下記の寸法で作られています。大刀の場合は三尺三寸の竹を用い、革袋部分は二尺五寸のため、柄部分は八寸になります。

稽古では基本的に大刀を用い、一部の小太刀の型で小刀を用います。中刀は子供用の刀であり、大転の伝授の太刀でのみ使用します。

大刀:三尺三寸(刃長二尺五寸、柄八寸)

中刀:二尺五寸(刃長二尺、柄五寸)
小刀:一尺七寸五分(刃長一尺三寸五分、柄四寸)

 

 

⚫︎制剛流抜刀術、新陰流杖術について

Q:制剛流抜刀術や新陰流杖術のみを学ぶ事ができますか?

A:制剛流抜刀術と新陰流杖術は新陰流の剣術が基本となっているため、原則として新陰流に入門していただき、制剛流抜刀術や新陰流杖術は併修することになります。

なお、制剛流抜刀術は新陰流入門当初から、新陰流杖術は新陰流目録位より稽古を始める事が可能です。

 

Q:制剛流抜刀術や新陰流杖術を学ぶために、別途、月謝等の費用がかかりますか?

A:居合刀や杖を用意いただく必要はありますが、別途の月謝はかかりません。

なお、制剛流抜刀術及び新陰流杖術の伝位を伝授された場合には当会規定の伝授料がかかります。

 

Q:剣術と居合・抜刀術はどのような違いがありますか?

A:剣術と居合・抜刀術のどちらも刀剣を用いて相手と戦う武術です。ただし、剣術は刀を鞘から抜いた状態での戦闘であるのに対し、居合・抜刀術は刀を鞘に納めた状態で相手と戦うための武術になります。広く剣を用いた戦い全般を考えた場合、居合・抜刀術はまだ武器(剣)を抜いていないという特殊なシチュエーションにおける戦い方と言えるでしょう。

なお、剣術では主に木刀や袋竹刀を用いて、使太刀、打太刀の二名一組で稽古します。居合・抜刀術では日本刀や居合刀(模擬刀)を用いて、基本的に敵を仮想しながら一人で稽古します。

また、間合いについても、剣術ではお互いの剣が届かない間合いから攻防が始まるのに対し、居合・抜刀術では至近距離にいる相手にいきなり抜刀するシチュエーションが多いです。

 

Q:「柳生制剛流抜刀術」、「新陰流居合」などの流派名を聞きますが、「制剛流抜刀術」とは違う流派なのですか?

A:正式な流儀名としては「制剛流抜刀術」になりますが、尾張柳生家においても、柳生流、新陰流、柳生制剛流等の不統一な使用をしていたことから、現在は様々な流派名で活動している団体があるようです。元を辿れば同門といえるでしょう。

 

Q:制剛流抜刀術は他の居合流派と比べてどのような特徴がありますか?

A:制剛流抜刀術は安土桃山時代の古流居合・抜刀術であり、江戸時代の居合によく見られる屋内でお互い座した状況でいきなり切り付けるのではなく、屋外で刀を鞘に納めた状況で戦闘になった時にどのように刀を抜いて剣術で勝つかを追求した居合・抜刀術の流派といえます。

他流では長い刀でリーチを活かして初太刀の抜き打ちでいきなり相手を切ることに重きを置くことも多いですが、制剛流抜刀術では一本目の向之刀に代表されるように、普通の長さの刀で有利な状況になるように抜いて、抜いた後は新陰流の刀法や体術に繋げて勝つという思想の居合といえます。抜いていない相手に先に切りつける技よりも、切りかかってくる相手に抜きながら対応する後の先の技が豊富です。

制剛流抜刀術では、片手切りや、剣術や体術への応用も考えて、使いやすい二尺二寸〜二尺二寸五分程度の比較的短めの刀を使います(身体が大きい方は、身体に合わせてそれより長い刀を使うことも可能です)。当流では鞘は下げ緒で左腰の帯に括り付け、基本的に鞘引きをせずにそのまま抜刀して、抜いた後はすぐに左手を柄に添えて刀法を使えるようにします。そのため他流と異なり、大小二本の刀をさしていても問題なく抜いて技を行うことができますので、普段使いの刀で常時に使える抜刀術といえるのではないかと思います。また、納刀中でもいつでも敵に対応できるように、血振り後、右肩前にあげた刀を切っ先からそのまま鞘に納める難しい縦納刀を行います。

制剛流抜刀術は長岡桃嶺師によって新陰流の剣術が組み入れられているので、新陰流の教習が進むとともに、新陰流と同じ技を抜刀術で刀を用いても学ぶので、相互に理解が深まります。

制剛流は柔・捕手・小具足・組打・居合・縄術等を含む総合武術ですが、特に柔で有名な流儀であり、制剛流抜刀術は体術から発展した居合・抜刀術の流儀と言えるでしょう。その後、制剛流抜刀術には長岡桃嶺師により新陰流の剣術が組み入れられたため、抜いた後に体術で勝つ型と剣術で勝つ型の両方があります。

 

Q:新陰流杖術は他の杖術流派と比べてどのような特徴がありますか?

A:他流の杖術は槍術や棒術から発展したものが多いのに対して、新陰流杖術は剣術を源とした珍しい杖術になります。新陰流の剣術の理合で使うため、武器としては異なりますが、新陰流の延長として学べますし、新陰流杖術の全ての型は、剣を用いても同様に使うことが可能です。

柳生十兵衛が考案した奥之杖と呼ばれる五本の型は極めて難しいため、渡辺忠成師範が様々な型を増補して杖術として体系立てました。順々に型を学ぶ事により、様々な太刀への対処法や、相手を杖で絡めて極める技などを学び、奥之杖に至る事ができるように組み立てられています。新陰流杖術は、新陰流の剣の術理で戦えることや、相手を杖で絡めて極めたり体術的に崩したりする技が多いのが特徴と言えるでしょう。

また、他流では四尺二寸一分の杖を使う流派が多いですが、新陰流杖術では柳生十兵衛が使った仕込み杖の長さと同じ、四尺丁度の杖を用います。

 

Q:居合道を学ぶことができますか?

A:当会は全日本剣道連盟居合道部や全日本居合道連盟などの居合道の団体に所属しておりませんので、制定居合(全剣連居合)や居合刀法などのいわゆる居合道は学びません。古流の抜刀術である制剛流抜刀術を学びます。

 

Q:日本刀による巻藁の試し斬りを行いますか?

A:当会では日本刀による試斬は行っておりません。

 

 

⚫︎その他

Q:体術の稽古を行いますか?

A:当会で稽古時間中に徒手同士の体術の稽古をする事はありません。ただ、新陰流には奪刀法(無刀取り)をはじめとして徒手あるいは剣や杖を通じて相手を崩していく体術的な技が多くあります。

 

Q: 新陰流兵法、制剛流抜刀術、新陰流杖術にはどのくらいの数の型がありますか?

A:新陰流は300本程度、制剛流抜刀術は40本程度、新陰流杖術は30本程度の型があり、当会ではそれら全てを学ぶ事ができます。新陰流では応用・変化技の事を「砕き」と言いますが、一つの型でも砕きが複数あるため、それを含めると数限りない数になります。

 

Q:合気道を稽古している人に新陰流を薦める理由は何ですか?

A:合気道は剣の理合であると言われているため、剣術を専門的に学ぼうとする合気道修行者は多くおられますが、剣術流派は数多くあり悩まれると思います。合気道修行者が学ぶ古流剣術としては、香取神道流、鹿島神流、一刀流、新陰流などがよく聞かれます。

その中で、合気道開祖植芝盛平翁は新陰流を学んでいたと言われますが、どのくらい合気道に影響があったかは不明な部分が多いです。ただ、新陰流は、のちに起倒流に派生する良移心当流と関係が深く、奪刀法(無刀取り)をはじめ剣を通して相手を崩して倒していく体術的な要素が盛り込まれており、剣術の中でも体術との親和性が高い流派です。植芝盛平翁も起倒流を学んでいますので、何かしらの関係があるのかもしれません。

合気道家が新陰流を学んだ場合に、何を受け取りどのように活かすかは人それぞれですが、新陰流の修行者に合気道家が多い(当会皆伝者は全員合気道家です)のは、太刀捌きや身体遣いの応用のしやすさや親和性の高さを示しているのかもしれません。

 

Q:現代武道では試合で相手に勝つなどの目標があると思いますが、試合の無い古流剣術や居合・抜刀術、杖術では何を目標に稽古するのですか?

A:新陰流を学ぶ人の目標は人それぞれです。

確かに、現代では試合や実戦が無いために、他人と競ったり、誰かと戦って倒すというモチベーションが持ちにくいかもしれません。ただ、新陰流は元々武士が敵を倒すために磨いた技術の結晶ですので、それを学ぶことで剣での戦いに強くなれることに間違いはありません。

基本的には他人との勝ち負けで自分を計ることは難しいので、自身の向上を自分で実感して、そこに価値を見出すことになると思います。稽古を重ねていく中でご自身の目標を見出されるのが良いと思います。

人によって新陰流を学ぶ理由は多岐に渡りますが、例えば、新陰流が好きだから、剣で強くなりたいから、古の身体操作や太刀の操法を学びたいから、昔の武士の思想を学びたいから、心身を鍛えたいから、日本の伝統文化を学びたいから、新陰流の極意を極めたいから、古の武術を広め次代に継承したいから、他の武術に応用したいから、いにしえの武士が学んだ新陰流の技法や心法を現代の実生活に活かしたいから、などがあるのではないかと思います。

制剛流抜刀術、新陰流杖術も同様です。

 

Q:新陰流、制剛流抜刀術、新陰流杖術の面白さを教えてください。

A:どこに面白さを感じるかは人それぞれだと思います。

その上で、当ページ管理人の個人的な意見としては、新陰流の面白さは、全ての身体操作、太刀捌きに意味があり、現代武道を長年やっていても到底思い付かないような高度な動きや太刀の使い方があるところです。これを何百年前の流祖や数多の先達が研鑽していたことに思いを馳せるとロマンを感じます。また、剣を持たずに新陰流の技を行うとそのまま体術になる程、体術的な剣術であるところも非常に興味深いです。さらに、初学者が稽古を始めて極意に至るまでの教習課程(カリキュラム)が非常に良く整っているところも、武術を教え伝えることを考える上で大変勉強になります。

制剛流抜刀術の面白さは、いわゆる暗殺剣や据物切りではなく、鞘に刀を納めた状態で戦闘になった時、相手が切り掛かってきた時、初太刀を避けられた時などにどう対応するかが良く考えられているところです。居合で一番重要な一本目の型が、他流派で多い目の前の相手への抜き打ちではなく、遠くの相手に向かって抜いて構える型であるところに、この流儀の思想が色濃く現れていると思います。

新陰流杖術の面白さは、離れている時は新陰流の剣術の理合で戦い、近づけば奪刀法のごとく、絡めて極めに持っていけるところです。新陰流の戦い方を、丁度、剣と徒手の中間で行っているように感じます。

当流では、剣術と居合、杖術の全てが繋がっていて同じ理合で使うことができ、どれも非常に実戦的で、物理学で説明できる理にかなった明解な動きであり、様々な武術に応用可能なところも大変興味深いです。